車いすラグビーも「ONE TEAM」。東京パラに向け次世代が成長中 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 日本代表メンバーの同じクラス3.0には、この池をはじめ、池崎大輔、島川慎一といった世界に誇るハイポインターがそろっている。そのなかで橋本は経験を積み、強度の高い試合での実績を残して、代表生き残りをかけて戦っていくことになる。

「東京パラでは今の自分より進化した姿を見せたい。今回、試合に出た時は『橋本コール』をもらえてすごく嬉しかった。観客に笑顔を届けられるプレーヤーになりたいです」と橋本。自国開催の大会で勝利も敗戦も経験したことは、彼の今後の成長の大きな糧となるだろう。

 クラス0.5の長谷川勇基(27歳)も、今後の活躍が期待される成長株のひとり。障がいクラスが最も重いローポインターだが、スピードとパスワークに長けており、AOCで初めてスタメンを経験。今大会も予選から決勝まで全5試合に出場した。インバウンダー(スローインする選手)もこなすことができ、オアーHCは「その後のプレーの切り替えもできる選手」と評価する。また、クラス2.0の中町俊耶(25歳)も今年、プレーに安定感が増し、代表に定着。数少ない左利きで、ハイポインターのプレッシャーに対しても精度を落とさず、シングルハンドで距離のあるパスを出せるのが強み。ブラジル戦では後半にトライも決め、またベンチでも大声をあげてチームを盛り上げ、勝利に貢献した。

 ベテラン勢と比べて経験が浅い分、ボールハンドリングなどのスキルや、最初から最後まで一貫性を持ったプレーをするという面ではまだ成長の余地があるが、前述のように若手選手の成長によって実現した多彩なラインナップは日本チームの大きな武器になる。東京パラリンピックまであと10カ月。目標である金メダル獲得に向けて、さらに「ONE TEAM」に磨きをかけていく。

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