杉浦佳子はパラサイクリングのメダル候補「みんなの笑顔が力になる」 (4ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 浅原満明●写真 photo by Asahara Mitsuaki

 課題を問うと、ひとつは今年に入って新調した自転車に「もっと乗り込むこと」を挙げた。富士スピードウェイで行なわれる東京パラリンピックのコースはアップダウンが多い。難しいコースほど、乗り慣れればタイムは上がる。6月に一部でも本番コースを走れたことは大きなアドバンテージだ。地の利を生かして反復練習し、「得意な登りで、ライバルをふるい落としたい」と意気込む。

 もうひとつ、ライバル選手たちの特徴をつかみ「勝負勘や駆け引きを身につけること」も課題にあげる。昨季までのレース展開は杉浦がアタックを先に仕掛け、逃げることが多かったが、今年序盤のレースでは初めて、先にライバルに逃げられ、追いつけずに敗れた。自身が研究されたように、逆にライバルを研究し、「相手の動きに、無意識に反応できる力を磨きたい」と話した。

 そうして、8月に行なわれたワールドカップ(カナダ)では金、銀2個のメダルを獲得し、強化は順調に進んでいるようだ。

「これまでのメダルは、みんなで獲ったメダルです。今まで出会った人、誰一人欠けても今の私はいません。だから、みんなを笑顔にしたいんです」

 強い思いを胸にペダルを回す杉浦の大きな瞳は、ただ前だけを見つめている。


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