パラ・パワーリフティングで新記録が続々。競技環境の変化が実を結ぶ (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 東京パラの出場枠は、海外選手も入れて各階級とも男子10名、女子8名。まずは、規定の大会に出場するなどの条件を満たした上で、東京パラリンピックランキングの男子8位以内、女子6位以内に入れば、東京パラ出場権を獲得できることから、今年の世界選手権ではひとつでも上の順位に食い込んでおきたいところだ。

 国内におけるパラ・パワーリフティングを取り巻く環境は、この数年で大きな変化を見せている。2016年7月には、競技別強化拠点施設にサン・アビリティーズ城陽が選ばれ、隣接する附属リハビリテーション病院の医科学的サポートが実現。

 現在は、東京のパラアリーナとともに練習・強化の拠点となり、これまで異なる場所で練習をしていた選手が、定期的に一同に会して合同合宿ができるようになった。体験会や選手の発掘事業にも注力し、数年前は20数名だった日本パラ・パワーリフティング連盟(JPPF)登録選手は、現在80名ほどに。片手でおさまるほど少人数だった女子選手も、今大会は7階級に10人が出場するまで増加している。

 また、日本人選手の強化面で欠かせない存在となっているのが、ジョン・エイモス氏だ。車いすに乗るイギリス人の世界的指導者で、2017年からコーチとして定期的に来日し、座学・実践を通して日本人選手にアドバイスを送ってきた。重さを競う競技という点では、健常者も障がい者も同じで、知識を共有できる部分もある。

 しかし、パラ・パワーリフティングの選手の場合は片脚切断や機能障がいなど、障がいの種類や程度に応じてフォームが異なるため、選手の感覚を理解したうえでの指導が必要となる。元選手であるエイモス氏は、障がいがある選手一人ひとりの身体と個性を誰より理解し、綿密かつ合理的な指導を実践できるのだ。

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