ボッチャ国内初の国際大会で観客を沸かせた「ミリ単位の超絶技巧」 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 これで今年のタイとの戦績を4戦2勝2敗とした日本。キャプテンの杉村は、「これまでタイには大差で敗れて歯が立たないイメージがあったけれど、今年はこれで2勝目。自信に変えていきたい」と話す。

 その一方で、「ただし、隙を見せたらタイには確実にやられてしまう。ミスをなくすよう、個々のスキルを上げていきたい」と気を引き締めていた。ロンドン、リオと2大会連続パラリンピック金メダリストであるタイのパタヤ・テトンは、日本の印象を「(自分たちと)以前ほどの差がなくなり、上達を感じる。戦略とチームワークもいいし、日本は怖いチームになると思う」と語り、健闘を称えた。

 若手期待の選手として代表に抜擢された中村は、試合ごとに成長する姿を見せた。ともに戦った杉村と廣瀬、藤井は、リオの銀メダリスト。偉大な先輩たちのハイレベルなプレーや戦略に、以前は戸惑うことも多かったというが、10月のワールドオープン・バンコク大会では日本代表の一員として金メダルを獲得し、さらに今回のタイ戦でも多くを吸収して自信を深めた。「日本らしいチームワークを発揮して、東京パラリンピックではチーム戦で金メダルを目指したい」と話しており、今後の活躍に期待が高まる。

 リオ後のルール変更で、タイムアウトがなくなり、コーチの指示はエンド間の1分間のみとなった。時間が短い分、選手の考えがより反映されることになり、チーム内のコミュニケーションがさらに重要になる。タイのサムリット・コッシラー監督によると、タイ代表は国の支援のもと、1日6時間、週6日練習をしているといい、この強固な連携基盤が結果につながっていると考えられる。日本の河合俊次総監督は「日本も練習環境をいかに整え、キープしていくかが今後の課題」と話す。

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