リオ2冠王者を破り、パラ陸上の佐藤友祈が東京につながる金メダル2個 (3ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by AFLO

「マーティン選手に勝つことができてうれしい。彼がスタートから逃げることは分かっていた。松永(仁志)監督と立てた『300m地点で捉えよう』というレースプランを達成できたことが勝因」と胸を張った。後半の伸びに絶対の自信を持つ佐藤にとって、ロングスパートは望む展開だ。400mも1500mも持ち味を存分に生かした圧勝だった。

 とはいえ、初戦となった1500m決勝のスタートラインでは、「緊張と不安で押しつぶされそうだった」と明かした佐藤。日曜夜のレースで、大観衆で埋まったロンドンスタジアムは、車いすアスリート、佐藤の原点とも言える場所だったからだ。

 1989年生まれの佐藤は21歳のとき、突然の病で車いす生活になった。失意のなかにあった2012年、テレビでロンドンパラリンピックを観戦。風を切って疾走するアスリートたちの姿に、佐藤の心が動いた。

「4年後に、僕もあの舞台に立つ」

 そうして始まった佐藤の競技人生。よりよい練習環境を求め、岡山に移住し、松永に師事して4年。有言実行で見事、リオパラリンピックに初出場。銀メダル2個を手に、今年は自身を新たな世界へと導いた憧れのロンドンスタジアムに、6年越しで立った。

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