戦略的プレーが見どころ。車いすテニス「クァードクラス」って何? (3ページ目)

  • 荒木美晴●文・写真 text&photo by Araki Miharu

 30回以上対戦している両者の試合はいつも接戦だ。今回は、とくに特徴的なふたりのプレーヤーを紹介したが、それぞれの選手の個性やプレースタイルを理解すれば、観戦者もきっと「試合を読む」楽しさを感じられるだろう。それもクァードクラスの魅力のひとつだ。

 テニスのグランドスラムには「車いすの部」がある。男女のウィンブルドンはこれまでダブルスのみ開催されていたが、2016年からシングルスも行なわれるようになり、選手たちの高いモチベーションになっている。一方のクァードは現在のところ、グランドスラムで行なわれるのは全豪オープンと全米オープンのハードコート2大会のみ。全仏のクレーコート、ウィンブルドンのグラスコートはクァード選手の負担が大きいとされているからだ。また、男子と女子は世界ランキング7位までの選手と、ワイルドカード1枠の計8人のドローで実施されるが、クァードはわずか4人で、非常に狭き門となっている。

 日本人選手では、諸石光照(フリー)と川野将太(シーズアスリート)の2選手に、さらなる飛躍への期待がかかる。現在の世界ランキングは諸石が8位、川野が16位。配球のうまさが光る諸石は、相手の嫌がる場所を突く正確なショットで世界をにらむ。川野は世界トップクラスと評されるスライスが武器だ。ふたりはパラリンピックでもダブルスを組み、ロンドン大会では4位入賞を果たしている。

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