車いすマラソン土田和歌子がトライアスロンでも優勝。東京はどうする? (4ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 だが、土田には「マラソンでのパラリンピック金メダル」への強い思いもある。シドニーで銅、アテネで銀、北京は5000mで他選手の転倒に巻き込まれて負傷し、マラソンはスタートラインにつけなかった。ロンドンでは力強くスタートを切るも、カーブで転倒し5位に終わる。「完全燃焼」を期した昨年のリオは激しいデッドヒートの末、金メダルまでわずか1秒差の4位。「力は出し切れた」と前を向いたが、悔しさははかり知れない。

 アスリートとして世界の厳しさも知るからこそ、今後のトライアスロン挑戦については、「マラソンとは別の競技。強化方法も違う。当初の目的はクロストレーニングなので、まずはその成果を秋のマラソンレースで見たい」と慎重な姿勢を崩さない。

 一方で、旺盛なチャレンジスピリットが掻き立てられたのはたしかだ。「魅力のある競技だなと思った。これからも世界で戦っていきたいし、まだ挑戦できる舞台があるのかなと思えた」

 前だけを見つめる大きな瞳に、どんな未来が映るのか。土田のアスリート人生に、また選択肢が増えた。

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