国枝慎吾が最後に見せた意地。銅メダルから始まる東京への道 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと/MAスポーツ●写真 photo by Yoshimura Moto/MA SPORTS

「試合内容としては、エキサイティングかどうかは疑問符がつきます。でも、それだけ勝ちたかった」と国枝。最後のブロンズメダルポイント。相手のショットがアウトになると、ガッツポーズと同時に国枝の目から一気に涙があふれ出た。齋田と肩を組むその手は震え、しばらくその場から動けなかった。

 テニスを始めたころから第一線で活躍していた齋田の背中を追いかけ、自分も日本を代表するプレーヤーになった。齋田と組むダブルスは、4大会目。最初のアテネ大会で金メダルを獲得し、北京大会では3位。ロンドンでは表彰台を逃した。それだけに、ふたりで手にした結果に「今回は格別です。アテネは12年前ですからね。そりゃあもう、本当にすごいことです」

 国枝は涙をぬぐい、すがすがしい表情でこう語った。

「シングルスが終わってからの2日間、手ぶらで帰るのか、そうじゃないかは大きな差だと、自分自身にプレッシャーをかけていました。ここでメダルを獲るか獲らないかで、今後が大きく違ってくる。きっと、この銅メダルが心の支えになると思います」

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