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「失格になったことへの償いがどうやったらできるか」高梨沙羅が模索してきた自身とスキージャンプ界の未来 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Toshimi Oriyama

【ベテランとして見ているスキージャンプ界】

――この4年間で高梨選手を取り巻く環境も変わってきましたね。最近では、丸山希選手(北野建設)が活躍するようになり、高梨選手ひとりが注目される状況から、チームを牽引する新たな存在が出てきたことで、精神面でもゆとりを持てるようになったのではないですか?

「特に今年は、若手の子たちの成長が著しい年でした。丸山選手をはじめとして一戸くる実選手(雪印メグミルク)や佐藤柚月選手(東京美装グループ)が、どんどん結果を出して日本代表チームに誰が出てきてもおかしくないという状況でした。

 そのなかでも希ちゃんは安定した成績をずっと残し続けたので、今年は希ちゃんの年だったと思います。私もスキージャンプを始めて21年間くらいになりますが、すごく刺激をもらいながらシーズンを過ごせました。

 ただ、そのなかで表彰台に乗れなかったのは、反省すべき点だとは思っています。スキージャンプ界の発展には若手の子たちの活躍が必要不可欠だし、底上げしてもらうためにもそういう子たちがどんどん出てくることでスキージャンプ界そのものが広がっていくとも思います。それに見ている方も楽しく観られると思うので、そういう循環が出始めてきたのはすごく喜ばしいことだなと思います」

――まだシーズンを終えたばかりですが、4年後というのは見えていますか?

「次の2030年フランスアルプス五輪については、まだ考えられていない自分もいます。北京五輪が終わった時も続けるか続けないか、考えられていなかったと思います。とりあえず、来年の2月には世界選手権があるので、そこに向かっていきたいという気持ちはあるので、(気持ちの落ちていた)前回の五輪のあとよりは、やる気に満ち溢れていると思います(笑)」

――小学生のころからスキージャンプを始めて約21年が経ち、多くの経験を積んできましたが、2011-2012年のW杯が始まった時から今まで一緒に戦っているのは、ドイツのユリアネ・ザイフェルト選手くらいになってしまいましたね。

「ユリアネももうすぐ36歳になりますが、今まで一緒にやってきた選手がどんどん引退していくのは寂しいですね。私は、今取り掛かっているジャンプをしっかり完成させることが大事だと思うので、そこはやりきりたいです。最後には納得できるジャンプをして終わりたいと思っています」

――またW杯で勝つ姿を見せてもらいたいです。それにはまず、2シーズン逃している表彰台にも復活してもらいたいと思っています。

「それは私もそう思います(笑)。そうなれるように頑張ります!」

Profile
高梨沙羅(たかなし・さら)
1996年10月8日生まれ。北海道上川郡上川町出身。
中学生のころから世界の舞台で活躍し始めると、女子のW杯が始まった2011-2012シーズンから参戦し、蔵王大会では16歳で初優勝を果たした。W杯の優勝回数は史上最多の63回。世界選手権でも数多くのメダルを獲得。オリンピックには4大会出場し、2018年平昌五輪のノーマルヒル個人で銅メダル、2026年ミラノ・コルティナ五輪の混合団体で銅メダルを獲得している。成績以外でも日本人女子選手の中心に立ち、女子スキージャンプ界を牽引し続けている。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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