後悔と涙にくれた静岡競輪場でリベンジを 「競輪選手になって今が一番いい」尾崎睦がガールズグランプリ制覇に挑む (2ページ目)
ビーチバレーで全国優勝も経験した尾崎。172cmの体躯も大きな武器photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る
【「結果にこだわらない姿勢」が好結果へ】
──その成果もあってか、今年はGⅠ開催で3回とも決勝へ進み、年間54勝を記録しました。好成績の要因をどう分析していますか。
昨年まではレースで「負けちゃいけない」という意識が強く、気持ちの面でギリギリの戦いでした。走るからには勝たなければいけないのは当然ですが、今年からは結果だけではなく内容を重視し、GⅠに向けた取り組みをしっかり発揮できるよう走れるようになりました。
気持ちの作り方や体の持っていき方ひとつひとつを丁寧に取り組み、ひと開催ごとにいろんなことを試して、その結果がレースにどう表われたのか。そしてまた次に何が必要かを丁寧に見極められるようになったと思います。
──結果にこだわりすぎないことがいい結果を生み出したのですね。
前までは「結果、結果」という考えでしたが、自分のやっていることを丁寧に出しきろうという姿勢がよかったかもしれません。
──では、GⅠという目標ができたことも含めて、この2年間は尾崎選手にとって大きな変化を迎えた時期になったのではないでしょうか。
そうですね。2年前は(賞金ランキングで)グランプリ出場圏内にいたにも関わらず、2度の失格によって選考外になってしまい、グランプリに出場できなかったんです。直後はショックですごく落ち込み、正直に言って気持ちも切れてしまっていました。それでも周りの選手や師匠、家族が声をかけてくれましたし、開催に行けばファンのみなさんが変わらずに応援してくださるのを見て「もう1回頑張らないといけないな」と思っていたところにGⅠができたんです。
周囲のみなさんに支えてもらって立ち直り、GⅠという存在に背中を押してもらった感じと言いましょうか。そこからは今まで感じたことのないような精神状態でいられるようになりました。競輪選手になって、今が一番いい状態だと思います。
──悔しい経験が今の糧になっているのですね。
当時は本当に落ち込みました。あの時は「こんなことがあるなんて、神様はいないのかな」と下を向いてばかりでしたが、周りの方のおかげでしっかりと向き合えて、少しずつ前に進んでこられました。今の時点でもいい経験になっていますが、グランプリで優勝することで本当に「あの時があったから」と言えるようになると思うので、頑張りたいです。
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