パリオリンピック・カヌーに挑む羽根田卓也 5大会連続5度目となる五輪は「新しい形に」 (2ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

――工夫次第でいろいろな練習ができるんですね。そして東京五輪が終わり、今回5度目となるパリ五輪ですが、出場を決意されたのはいつ頃ですか?

「東京五輪が7月に終わって、2021年いっぱいは自分の気持ちの整理に費やしました。そして、周りの方々とお話しする中でパリ五輪への挑戦を決めました」

――東京五輪が終わって10月にお会いした時は、とにかく年内は休みたいとおっしゃっていました。パリ五輪に向けて、どのようにモチベーションを高めていったのでしょうか?

「休みたいっていうのは、東京五輪で疲れ果てたからではなくて、少し自分の気持ちを整理する時間を作りたいっていうことだったんです。7月から年内いっぱい、自分の中で考えてみたり、いろんな人の意見を聞いてみたり、その意見一つひとつを整理していって、パリ五輪をどうするかを決めたところがあります。

 東京五輪までの五輪は、"自分の挑戦、自分にとっての五輪"でした。自分が五輪に挑戦して、自分がどういう結果を残すかという、"自分主体の五輪"だったんです。

 ですが今回のパリ五輪は、自分主体ではなくて、自分の周りにいる人たちの顔を思い浮かべながら目指すことで、モチベーションが高まり、それこそが意味を持ち価値があるなと思って決めました」

――羽根田選手は、ご自身の主催大会を開かれたり、カヌー体験会のイベントなどにも積極的に参加されています。海外転戦や練習で多忙な中、スケジュール管理が大変ではないですか?

「忙しい中でも大会やイベントに参加する意義は十分あります。参加してくれる方々や観に来てくれる方々、イベント開催に携わってくれる方たちの声や応援はすごくパワーになります。イベントは距離感の近さこそが醍醐味でもあります。

 僕も五輪を目指すきっかけのひとつに、"トップの選手たちと近くで触れ合えたこと"があります。子ども達に、必ずしも五輪を目指してほしいとは言わないですけど、自分との出会いが、子ども達にとって何かのきっかけになってくれたらいいなと思っています」

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