伊藤華英と柳原真緒が「アスリートの生理」の課題を語り合う「GPを獲れたのは生理に対処できたからだと絶対に言いきれる」 (3ページ目)

  • text by Sportiva

【生理への対処ができたからタイトルが獲れた】

――目標にしていたレースや獲りたかったタイトルで、生理が理由で獲れなかったものはありますか。

柳原 なぜかあまり、ビッグレースにはかぶらなかったんですよね。だからビッグレースでは、結構いいレースができていると思います。

伊藤 私はアテネ五輪の選考会(2004年日本選手権)と北京五輪本番(2008年)で、生理の影響があって乗りきることができませんでした。アテネ五輪の選考会の時は19歳だったんですが、当時はまだ生理前のPMS()のしんどさを理解していなくて、緊張とプレッシャーで、自分は弱いんだなと思ってしまったんです。プールサイドでコーチと「どうする午後の決勝?」と話していたら、涙が出てきちゃったんですよ。なんでこんなに悲しいんだろう、と。今思えば、極度の緊張と生理前のバットコンディションが重なっていたからなんだろうなと感じています。結局3位になってしまって、オリンピック本番には出場できませんでした。
※月経前症候群:月経前の下腹部痛や乳房の痛みや張り、腰痛、頭痛、肩こりなど

――北京五輪の時はどんな状態だったんですか。

伊藤 北京五輪には出場できたんですが、本番の少し前から中用量ピルを飲んでいました。それで体重が増えてしまったんです。1キロ増えただけでもコンディションに影響するんですが、その時は4~5キロ増えていました。3カ月くらい前から「太っている」と言われ続けていて、自分なりに1度もいい練習ができた記憶がありません。メダルを狙っていたのに気持ちも乗らなくて、結局、決勝で8位。ただ、そこでも生理については真剣に考えていなくて、引退してから初めて、生理はアスリートにとって大きな課題だなと認識しました。

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