秀岳館、松戸高校...、表面化する部活動での暴力。伊藤華英が考える「帝国」を打破する方法と第三者の必要性 (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 廣瀬久哉●撮影 photo by Hirose Hisaya

選手たちは「伝える力を身につけるべき」と語る伊藤華英さん選手たちは「伝える力を身につけるべき」と語る伊藤華英さんこの記事に関連する写真を見る そこに第三者、トレーナーさんでも、メンタルトレーナーさんでも、栄養士さんでもいいので、先生と選手の橋渡しをする人、悩みを言いやすい人を配置しておくことがとても重要だと思います。

 選手同士で悩みを話してしまうと、いつしかそれがグチや悪口に変わってしまいがちですので、私は現役時代、トレーナーの方やメンタルトレーナーの方に悩みを聞いてもらっていました。その悩みは生徒側からだけでなく、先生側からも話せる人がベストで、お互いにとってもメンタルヘルスにつながるのではないかと思います。

 このような人材を増やすことは資金的にも難しい状況はあるでしょうが、暴力やパワハラをなくし、先生と選手たちが、健全に部活動に励むためにも検討すべきことなのかなと思います。それが、学校単位などの単一的なものではなく、地域や社会で解決していくというのが必要かと思います。

 また、私はさまざまな教育現場で月経をテーマにして講義をすることがありますが、そんな時に生徒たちに伝えているのは、「『お腹が痛いから休みたい』では、誰も理解してくれない」ということです。

 まずは、3カ月間で自分の月経周期とコンディションを理解して、そのうえで「私はこの月経周期で、このタイミングですごく体調が悪くなります。今はこの時期なので体調が優れません」と伝えれば、納得してもらえます。先生や他人に理解してもらうためには、まず自分を知り、伝える力を身につけないといけません。先生だけでなく、選手側にも改善する意識が必要でしょう。

単純な地域移行では解決しない

 先日、スポーツ庁が公立中学校の運動部活動について、休日分から段階的に地域の民間団体に委ねることを発表し、来年度から3年間を「改革集中期間」に位置づけました。

 この方針については、よりプロフェッショナルな指導を受けられるので、私はポジティブに捉えています。全国には約3600の総合型スポーツクラブがありますから、そんなところと連携して、校庭や体育館を開放し、地域全体で選手たちを育てていくことはとてもいいことだと思います。

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