カーリングの「オタク」富士急・小穴桃里が語る、チームの素顔と魅力 (4ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

――いよいよ勝負のシーズンの集大成となる日本選手権が始まりますが、今季はどのように強化を図ってきたのでしょうか。

「先シーズン(2019-2020)は、カナダ遠征で初めて勝てたり、多くの試合でたくさんのことを試せたりした、という意味ですごくいい経験が積めました。その反面、ピーキングがうまくいったとは言えませんでした。ちょっとオーバーワーク気味でしたね。その結果、大事な日本選手権は持っている力を100%発揮できなかった、不完全燃焼の大会となってしまいました」

――そうしたこと受けての今季、コロナ禍にあって強化面においては苦労も多かったのではないでしょうか。

「昨年の春、緊急事態宣言が発令されたあたりは、もともとオフシーズンを作るプランだったんです。春からアイスに乗らず、6月くらいまではトレーニングをする予定でした。そして実際、今季から信太美紗都トレーナーがチームについてくれたので、春の間はひとりひとり個別のメニューを組んでもらって、オンラインで体幹を鍛えたり、それぞれでランをこなしたりしてきました。幸いにも、コロナ禍で強化が滞るということはなかったと思います」

――日本選手権の地区予選にあたる関東選手権が中止になってしまい、前年度最上位の富士急が日本選手権に派遣されることが決まりました。

「(関東選手権が中止になったことは)本当に残念ですが、状況が刻一刻と変わっていくなかで、安全に開催できる方法をギリギリまで探ってくださっていた大会事務局の皆様には感謝しかありません。『何かをやると決めること』も『やらないと決めること』も大変な決断であることは想像に容易いです。この場を借りてお礼を言わせてください。ありがとうございました」

――それも含めて、試合勘といった部分での不安はありませんでしたか。

「それは、正直ありました。練習試合はできましたし、JCA(日本カーリング協会)が強化合宿を組んでくれたのもありがたかったのですが、緊張感のある雰囲気の中で試合をする、というのは難しかったですね。そのために、まだジュニアの試合に出られる年齢の有理沙はジュニアの試合に、あとの3人はミックスダブルスの試合に挑戦して、緊張感のある試合をこなしてきました。

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