2020.08.19

「もう終わりかな」と思ったフジカキペアが銀メダルを獲得できた理由

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 藤井がそう振り返るように、開き直った姿勢が勝ちにつながった。

 ところが、勝てばメダル獲得が確定する準決勝のカナダ戦は一転して苦しんだ。カナダは、予選3戦全敗ながら、中国と韓国の失格で繰り上がってきた世界ランキング28位のペア。日本にとって、試合前から「勝って当然」というプレッシャーがあった。

 日本の2人は、第1セットは21対12で取ったが、第2セットは緊張でリズムを作れず、19対21で奪われた。藤井は「試合中は久しぶりに『やばい、どうしよう。逃げたい、逃げたい』と思って、口にも出していました。でも(垣岩が)『大丈夫、大丈夫』と言ってくれたので、何とか踏みとどまれました」と話す。

 垣岩も「いつもは緊張しない先輩が『逃げ出したい』とか、『もう嫌だ』とか言っていたので、やっぱりそういう時は笑顔でやらないとダメかなと思って、積極的に声をかけて試合に関係ない話もしていました」と笑いながら振り返る。

 そういったやりとりを経て踏ん張り、ファイナルセットは中盤でリードを奪って、21対13で勝利。決勝進出を決め、銀メダル以上が確定した。決勝の相手は世界ランキング2位の田・趙組。予選ではデンマークペアに敗れて2位通過だったが、決勝トーナメントでは格下の相手を圧倒して勝ち上がっていた。