野口啓代、八王子で復活の狼煙。東京五輪で「女王帰還物語」完結へ (6ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO


 正確性を期すなら、野口はW杯ボルダリングでヤーニャよりも上回る順位を何度か記録している。しかし、ヤーニャがW杯ボルダリングに本格参戦した2017年以降では、2017年の1試合しかない。

 2018年シーズンに野口が3勝をマークした試合は、すべてヤーニャは欠場していた。

 もし出場していたら、2018年の野口の結果は違ったものになっていたかもしれない。だが、野口が苦手をひとつ克服したことは、揺るがない事実だ。

 苦手克服に励んだ日々の成果は、2019年にコンバインドのボルダリングとはいえ、女王の牙城をひとつ崩すことで現れた。もうひとつ克服すれば......。

 今シーズンの幕開けに向けて、野口は昨年の世界選手権後に取り組んできたことを、次のように明かしている。

「この冬は緩傾斜でのトレーニングを多くしてきました。緩傾斜でも、手も使うような課題なら登れることが多いけど、手でホールドを持てずに足だけでしっかりホールドを踏んで登るような課題は、すごく苦手にしてきたので。そこを克服しようと取り組んできました」

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