楢崎智亜と野口啓代、好成績も表情に明暗。新たな弱点も見つかった (4ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 女子と同じく男子も、優勝と2位の差は1ゾーンになった。だが、報道陣の前に現れた2位の楢崎の表情は、野口とは対照的にスッキリしたもの。穏やかな口調で、時には笑いを起こすひと言を放つほど。

「事前の調整段階から、そこまで優勝を意識してなかったので。まあ、惜しかったな、くらいです。楽しくやりながら予選から決勝まで戦えたし、オリンピックに向けての弱点を見つけたり、追い込まれた時の集中力の出し方だったりという部分で、今大会の目的は果たせたかなと思います」

 今大会は、大きなホールドとホールドの間に身体を入れ、壁の中から両サイドにあるホールドに手と足を突っ張りながら高度を稼いでいく、ワイドクラックのような課題が出された。決勝第2課題もそうした動きの求められる課題で、ここでゾーンを取りこぼしたことが響いて、楢崎は2位に終わった。

「こうした動きに苦手意識はなかったけれど、これまで大会で出てくることの少なかった課題が、今大会は決勝だけではなく、準決勝でも出てきた。もしかしたら、今年の流行りになる傾向かもしれないし、五輪でも出る可能性はある。

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