蒼国来を相撲人生の絶頂からどん底へ突き落とした「ある事件」 (4ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki


内モンゴル出身の、初の関取となった蒼国来。photo by Kyodo News内モンゴル出身の、初の関取となった蒼国来。photo by Kyodo News 内モンゴル出身としては、初めての関取。中国出身という意味でも、36年ぶりで、荒汐部屋からも初めての関取誕生です。親方、おかみさん、応援しているみなさんには、我が事のように喜んでいただきました。

 快進撃はさらに続きます。新十両の場所(2010年初場所)で9勝を挙げて、その後も3場所連続で勝ち越した私は、秋場所(9月場所)で新入幕を果たします。

 今振り返ってみても、11場所連続して勝ち越したこの頃が、相撲人生で一番楽しい時だったかもしれませんね。25~26歳で、一番力が出る時期だったこともあったでしょう。

 2011年初場所も幕内で勝ち越して、ホッとしたのもつかの間、ある事件のために、私の人生はどん底に落ちてしまいます。

「ある事件」とは、大相撲八百長問題です。八百長に関与したとして、その年の4月に、私は相撲協会から引退勧告処分を受けたのです。

(つづく)

蒼国来栄吉(そうこくらい・えいきち)
本名:エンクー・トプシン。1984年1月9日生まれ。中国・内モンゴル自治区出身。荒汐部屋所属。玄人好みの取り口と実直な人柄で根強い人気を得ている。少年時代は、放牧生活を営む実家で、馬や牛、羊、山羊、犬に囲まれて育つ。昨年9月に日本国籍を取得。2020年初場所(1月場所)時点での番付は、十両10枚目。

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