錣山親方が驚愕。九州場所の本命は、34歳にして体の厚みが増した白鵬 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 しかし、この優勝決定戦で、貴景勝は左大胸筋を痛めてしまいました。それから数日後に公開された貴景勝の胸の部分は、どす黒くはれ上がっていて、秋巡業の前半はさすがに休まざるを得ませんでした。でも、その休場に責任を感じていた貴景勝は、途中から巡業に参加。稽古をこなしていました。

 脅威の回復力は、23歳という若さが成せる業なのかもしれませんが、彼の気持ちの強さにもよると思います。もちろん、私たちが現役だった頃よりも、現在の治療方法が飛躍的に進歩していることもあるのでしょうが。

 とにかく、今場所も貴景勝は左手をよく使えています。彼もまた、2日目に星を落としてしまいましたが、盛り返して再び優勝争いに加わってもおかしくありません。

 続いて気になるのは、先場所優勝の関脇・御嶽海でしょうか。関脇以下の番付で2回も優勝しているというのは、実力がある証拠です。私たちの時代にも、平幕で2度優勝している琴錦(現・朝日山親方)という力士がいましたが、大関にならないのが不思議なくらい強い力士でした。

 本場所では"ここ一番"で力を発揮する御嶽海ですが、稽古場ではあまり力を出さないと聞いています。今は、それでも勝てるかもしれません。ただ、優勝と縁がなかった私があれこれ言えませんけど、元来、今やっておくべきことをしっかりこなさなければ、"次"の地位は見えてこないと思います。そういう意味では今場所、優勝候補ナンバー1の白鵬に迫ることは難しいと見ています。

 さて、若手にも目を向けてみましょう。

 今場所、ただひとり新入幕を果たしたのが、24歳の若隆景。身長182cm、体重125kgと、幕内力士の中では小柄な部類に入りますが、兄ふたりも力士(十両の若元春と幕下の若隆元)で、本名をもじった「大波三兄弟」の末っ子として話題を集めています。

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