「追いつ追われつ」の山口茜と奥原希望。ふたりの対戦は絶妙で面白い

  • 平野貴也●取材・文 text by Hirano Takaya
  • photo by kyodo news

 日本が世界に誇る2人が、表彰台に並び立った。6年ぶり2度目の優勝を飾った山口茜(再春館製薬所)と2年連続準優勝の奥原希望(太陽ホールディングス)は、混戦模様のバドミントン女子シングルスでともに世界の頂点を狙う存在だ。

ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン決勝で対決した山口茜(写真左)と奥原希望(同右)ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン決勝で対決した山口茜(写真左)と奥原希望(同右) 7月末に閉幕した「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2019」は、BWF(国際バドミントン連盟)ワールドツアーの中で年間5大会しか行なわれない、スーパー750という格付けの高い大会。日本のファンには、世界の強豪を国内で見られる年に一度の機会として知られており、高い注目度を誇る。

 準々決勝以降が行なわれた週末(26日~28日)は、6000人を超える観客が足を運んだ。会場は1年後に東京五輪の同競技が行なわれる、武蔵野の森総合スポーツプラザだ。最終日、決勝戦で日本人対決となった女子シングルスは、観衆を大いに楽しませた。

 2人がジャパンオープンの決勝戦で戦ったのは、奥原が優勝した2015年以来4年ぶり。リオデジャネイロ五輪の前年だった。大会の格付けが高くなった現在は、予選がなく、世界ランクの高い選手しか出場できないが、当時は予選があり、2人とも予選から這い上がっての決勝対決だった。

 4年を経て東京五輪の前年となった今回は、2人とも優勝候補。山口は、第1シードから勝ち上がり、前週に行なわれたインドネシアオープン(ジャパンオープンより格付けが高く、年間3大会しか行なわれないスーパー1000)に続く2週連続優勝を飾った。4年ぶりの決勝対決は、2人がともに世界のトップへ成長してきた歩みを証明する一戦だった。

 試合も見応えがあった。山口は試合後にこう話した。

「あまりロングラリーにならないように頑張りたいと言ったけど、出だしから長いラリーばっかり。今日はちょっとダメかなと思ったけど、気持ちを切らさずに我慢して、チャンスでスピードを上げられた」

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