金メダルを獲得してもスピードスケート小平奈緒が現役を続ける理由 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 もうひとつのオランダでの成果は、小平と結城の関係性の変化だろう。

「僕が小平に相談できるようになったのは大きいですね。ソチ五輪まで相談できなかったのは、それはどこか『頼られているから言えない』という部分が僕にあったんだと思います。でも今は、小平もコメントしている通り、『信じてはいるけど、頼らないようにしている』というスタンスのようです。

 僕自身が迷った時に、『これ、奈緒はどう思う?』とか『奈緒ならどうする?』と聞けるようになりました」

 新しい関係性を築き始めたふたりは、平昌五輪前にもお互いの意見を出し合い、確認したことがある。それはたとえ五輪期間中であっても、「いつもと同じように、何か見つけたらそれにトライしていこう」ということだった。

 そんな前向きな気持ちの追い風になったのは、平昌五輪後に行なわれるベラルーシのW杯ファイナル出場を辞退することと、同じ日程で行なわれる標高1034mの高速リンクがあるカルガリー大会に出場して、そこで世界記録を狙う予定を立てていたこと。驚くことに、それを五輪の1年前の1月に、結城と話して決めていた。

「そこまで(五輪まで)となると、ちょっと止まってしまうんです。ベクトルの向きは上向きになっている時の方がタイムはよくなりますし、彼女の性格的にも(記録を狙う)チャンスが増えることに喜びを感じる選手なので、その意志を尊重しようと思いました」

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