貴乃花親方のピンチを救えるのは、復活した貴ノ岩の快進撃しかない (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 阿武松親方ら同志から「協会の改革」を期待され、貴乃花親方が理事に当選したのが2010年。しかし、当選後の目立った動きといえば、大阪場所担当部長のときに15日間連続で正面ロビーに立ってファンサービスに努めたくらいで、それ以外は改革どころか目に見える成果を上げられていない。

 一門の枠を超えて約30人の親方が支持していたのも今は昔。今回の騒動もあって、そのほとんどが貴乃花親方の「組織人としての素養」に疑問を抱いている。今もなお、各メディアでは貴乃花親方を擁護する意見も見られるが、協会内部や往年の相撲ファンにはその行動は理解されず、ほぼ孤立しているというのが実情だ。

 さらに、貴ノ岩の出場が決まった9日には部屋のホームページを更新。暴行事件への協会の調査が「公正中立ではない」としたうえ、自身の理事解任を「正当な理由がない」などとし、内閣府の公益認定等委員会に告発状を提出したことを発表した。その告発状では、協会への立ち入り検査、是正措置などを求めている。

 現在の協会の運営に疑問を持ち、告発するのはもちろん自由だ。しかし、本場所を目前にしたタイミングで協会とさらに敵対し、決別することすら思わせる行動は、世間の目を土俵から離し、力士の集中を削ぐことにつながりかねない。貴乃花親方の孤立化に拍車がかかることも予想され、非常に厳しい道を選択してしまったといえる。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る