カッコ悪くても勝つ。カーリングの求道者・藤澤五月は勝利に飢えている (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

 2011年に日本選手権で初優勝を果たして日本代表となると、2012年のパシフィック・アジア選手権で準優勝。自身初の世界選手権への切符を得るが、その世界戦(2013年・ラトビア)は5勝6敗と負け越して7位に終わった。

 藤沢がそこで得たのは、勝利への飢餓感とスキップとしての自覚だ。

「どんなにカッコが悪くても、調子が悪くても、勝つことの大切さを知りました。スキップというポジションは、氷の状態を読んでどう戦っていくか、戦略を決めないといけない。スキップ力をもっともっと上げて、世界に通用するスキップになりたい」

 そう決意を強めた藤澤は、中部電力の活動場所となる軽井沢でも、LS北見に移籍後の常呂でも、ひたすら石を投げた。無心で、求道的に、カーリングが大好きで一途だった。

 迎えた自身初の五輪。ファイナリストになるには、何が足りなかったのだろうか。

 ラウンドロビン(総当たりの予選リーグ)のショット率は、スキップとフォースの全10選手中、6位タイの73%にとどまった。準決勝では86%まで上げ、韓国のキム・ウンジョン(スキップ)に投げ勝ったが、チームは勝てなかった。

 もちろん、ショット率だけがすべてではないが、試合で負ければ「私の力が足りなかった」と涙を流す、ストイックな藤澤が現状に満足するはずがない。

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