五輪メダルに必須。ボルダリング女王・野口啓代が取り組む「スピード」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro photo by IFSC/Eddie Fowke co-operated by UNDERGROUND

「アジア選手権で久しぶりにスピードの公式戦を経験し、大会ならではの緊張感や、速い選手の登りを間近で見ることの大切さを実感しました。

 8月に東京・昭島市であったスピードの合宿に参加した時は、13秒くらいで登れたのですが、公式戦はスタートでのフライングへのプレッシャーなどがあって難しかったですね」

 キャリア2度目となったアジア選手権スピードで、野口は15秒32をマーク。2015年の同大会で記録した20秒22から大幅にタイムを短縮したものの、25選手中22位で予選敗退となった。それでも野口は、「収穫があった」と振り返る。

「アジア選手権のスピード用の壁が、昭島のものとは違ってフリクション(※1)のない材質で、私はスメアリング(※2)が効かずに足が滑ってしまった。だけど、スピードの練習が豊富な選手たちは、そういう環境でもちゃんとタイムを残したので、とても刺激になりました。
※1 フリクション=摩擦。人工壁の材質によって摩擦が効くものと効かないものがある。
※2 スメアリング=クライミングシューズのソールを壁に押し付けること。

 それにスピードをメインにするトップレベルの選手たちに、週に登る頻度やフィジカル・トレーニングについてなど、いろいろな話を聞けたのも大きかったですね。

 練習方法にしても、ひたすら登り込むという選手もいれば、上部と下部のパートに分けて練習する選手、3手ずつ練習するという選手もいました。すべての国に15mのスピード用人工壁があるわけではないので、スピード課題を3分割してボルダー壁に作って練習していると話す選手もいて、とても興味深かったです。

 この冬から本格的にスピードの練習に取り組み始めますが、そうした情報を参考にしながら、自分に合う練習方法を見つけたいと思っています」

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