LS北見vs中部電力。五輪よりもシビれるカーリング女子の代表決定戦 (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro


中部電力が下馬評をくつがえして五輪切符を手にするか中部電力が下馬評をくつがえして五輪切符を手にするか  対する中部電力は、ここに来ていい意味で開き直れた。それが大一番で功を奏すか。

 日本王者として迎えた今季は、LS北見のホームアドバンテージを埋めるべく、決定戦の舞台となる常呂のリンクで累計2カ月近くに及ぶ合宿を複数回組んだ。そして、国内最高レベルの"滑るアイス"の感覚を身体に染み込ませてきた。

 しかし、アドヴィクス杯(7月14日~17日/北海道北見市)、どうぎんクラシックと2大会続けて入賞を逃した。そのとき、選手たちはそれぞれ反省の弁を繰り返すばかりだった。

 リードの石郷岡葉純(いしごうおか・はすみ)が「(いろいろと)迷った部分があった」と言えば、サードの清水絵美は「ショットに安定感がほしかった」とこぼす。スキップの松村千秋も「正直、みんな(の気持ちが)沈んでいたときもあった」と、結果の出なかった2大会を振り返る。

 大事な戦いを前にして、チーム内には閉塞感が漂い始めていた。だが、日本カーリング協会専任コーチのリンド・ジェームス氏がその雰囲気を打ち破ってくれた。彼は、中部電力の選手たちにこう言った。

「日本選手権のときのほうが、カーリングが楽しそうだったよ」

 そのアドバイスに選手たちは救われた。松村が言う。

「(ジェームス氏の言葉を受けて)チーム内で、『もっとポジティブに、プラスに考えてやったほうがいいよね』というふうになった。それで、あと1カ月しかないけれど、こっち(軽井沢)に帰ってきてから"何をやらなければいけないのか"という話を(みんなで)することができた」

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