綱取りに挑む豪栄道。角界の重鎮たちが語った「連続優勝への条件」 (2ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kyodo News

 だからこそ、綱取りに関しても「その日の一番に集中したい」と、先を見ず一日一日の積み重ねを強調した。この場所前の心境は、おそらく本音だ。自らの相撲を取り切れば、自ずと結果はついてくる――。そんな自信が今の大関にはある。

 審判長として、土俵下で豪栄道の相撲を目にしてきた友綱副部長も、先場所の土俵上のたたずまいから精神的なゆとりを感じたという。

「これまでは、バタバタした相撲が多くて、簡単に言うと落ち着きがなかった。ところが、先場所はそうしたものが一切なく、非常に落ち着いていた。先場所に優勝できた最大の要因だと思う」

 豪栄道は、2014年秋の大関昇進後、度重なるケガで満足な状態で土俵に上がることができずにいた。その不調が不安を呼び、心を動揺させていたが、「(秋場所は)立ち合いの手つきも以前よりきちんとついていた。手首を痛めていたようだが、それも回復したのがよかったのでは」と友綱副部長。今まさに、審判部は立ち合いの正常化を目指して手つきの厳格化を力士に指導している真っ最中。立ち合いの手つきのスムーズさを好調のポイントにあげたのは、審判長ならではの視点といえる。

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