迷走する新国立競技場。ザハ案になぜ決まり、白紙撤回されたのか (4ページ目)

  • text by SPORTIVA 日本スポーツ振興センター/AP/アフロ●写真提供

杉山 建築費の問題もあるのですが、僕なんかは立地や環境との兼ね合いに関心がありました。僕は国立に誰よりも行っているぐらい行っているし、それ以外にもこれまでいろいろなスタジアムを見てきましたが、総合的に見て国立競技場はすごくいいんですよ。何よりも立地がいい。街のど真ん中にあるスタジアムで、駅がものすごくあるじゃないですか。その気になれば新宿、渋谷まで歩ける。そういうのも含めると使用できる駅が7つぐらいあるんです。だからスポーツを見て、その後「じゃあ一杯飲みに行きますか」というようなことも可能で、横浜国際や埼玉のように、感激も感動も家に着く頃にはすっかり冷めているということがない。余韻をずっと楽しめるんです。

 もうひとつは、国立の周りは緑が多いじゃないですか。東京って、高層ビルの上から見ると、皇居とか明治神宮とか代々木公園とか、緑がすごく多いですよね。その緑の中にある感じをもっと出したほうがいいんじゃないかなという気持ちがありました。僕は建築のことはよくわからないのですが、埼玉スタジアムのようなところに建てるんだったら、周囲に何もないからモニュメント的なものにしてそれでみんなを引き寄せるというのもありだと思うんです。でも神宮はもう成熟した場所じゃないですか。周りをぶち壊してしまうのはどうなんですか、というのがすごくありました。

山嵜「競技場でいいものを作ればオリンピックが招致できる」というような考え方で終わったんですよね。「いいもの」という考え方の問題ですが、たぶん「著名建築家を雇った僕たち東京ってイケてない?」と、招致委員会の人たちは思っていたんです。そして、実際、世界的建築家であるザハさんの案を採用して、「こんなスタジアムで五輪を僕らは開催できますよ」とやり、東京五輪が招致できた。

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