【月刊・白鵬】横綱が感動した羽生結弦「美しさの原点」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第49回:羽生結弦

3月場所で6場所連続優勝を飾った白鵬。3月場所で6場所連続優勝を飾った白鵬。春場所(3月場所)で
34回目の優勝を飾った横綱。
その後、春巡業の合間には、
フィギュアスケートの
羽生結弦選手の演技を観戦し
大いに刺激を受けたという――。

 大相撲春場所(3月場所)が終わった1週間後から、私たち大相撲一行は、春巡業で全国各地を回りました。恒例の伊勢神宮(三重県)奉納大相撲で始まって、そのあとは兵庫県を訪問。今年は、阪神淡路大震災(1995年)から20年ということもあって、力士たちによる献花式も行なわれました。また、4月2日には、高野山(和歌山県)開創1200年という大法会の場で、私と日馬富士が土俵入りをするという、稀有(けう)な経験をさせていただくこともできました。

 その翌日には、これまた恒例の靖国神社(東京都)奉納相撲が、満開の桜が咲き誇る中、行なわれました。多くのファンの方々が足を運んでくれて、例年以上に盛り上がったと思います。実はその際、支度部屋には妻と3人の子どもたちが陣中見舞いにやってきてくれて、なんとなくホッとした気持ちになりました。ちょっと癒されて、巡業への励みになりましたね。

 ところで、先の春場所では、苦しみながらも通算34回目の優勝を飾ることができました。応援していただいた皆様には、心より感謝申し上げます。

 優勝33回という史上最多記録を達成した初場所(1月場所)のあと、私は改めて「さらに上を目指す」という志をもって、優勝36回という数字を自身の目標に掲げました(参照記事=3月18日配信「史上最多優勝を遂げた横綱が次に狙う『記録』」)。しかし、優勝というのは、あくまでも1回、1回の積み重ねです。それは、これまでもずっとそうでした。もちろん、これからも変わらないと思うのですが、3月11日に30歳を迎えた私にとっては、1回の優勝というものの"重み"が、以前にも増して大きくなっているような気がします。

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