幼馴染みの髙梨沙羅を追いかけて。勢藤優花の決意とは。 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by REUTERS/AFLO

 そこでは32位と、30位以内がもらえるポイントを獲得できなかったが、国内初戦となった今年1月4日の雪印メグミルク杯では、風の条件が目まぐるしく変わる条件の中で1本目に最長不倒の95mを飛び、髙梨を抑えてトップに立った。

「初めて沙羅より飛んで、頭の先まで緊張した」という。2回目は87mに止まって髙梨に逆転されたが、伊藤有希(土屋ホーム)を抑えて2位になる殊勲をあげたのだ。

 さらに、1月のW杯札幌大会第1戦では22位になって初めてポイントを獲得し、翌週の蔵王大会2日目には16位に。その後のヨーロッパ遠征メンバーにも選ばれ、最初のドイツ・オーベストドルフ第1戦の11位を最高に、14位、22位、23位と連続してW杯ポイントを獲得。髙梨が選ばれなかった2月5日からの世界ジュニアにもエース格として出場した。

「けっこう緊張して、いつも通りのジャンプができなかったと思う」という個人戦では、1本目の9位から挽回して日本人トップの7位に。そしてエースが揃う4番手で出場した団体戦では93.5m、90mと2本を揃え、日本の銅メダル獲得に貢献したのだ。

 その後はW杯に戻り、世界選手権直前のリュブノ大会では26位、20位とまずまずの状態を保ってのファルン(スウェーデン)入りだった。

 しかし、初めての大舞台は、彼女に試練を与えた。その悔しさは、「混合団体は下で頑張って応援します」と控えめな言葉を口にしていた彼女に“欲”を芽生えさせたはずだ。

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