2013.09.20

【レスリング】世界大会V14。ルール変更は吉田沙保里に「吉」

  • 宮崎俊哉●文 text by Miyazaki Toshiya photo by AFLO

 ハンガリー・ブタペストで開かれたレスリング世界選手権、吉田沙保里にとって最大の強敵は、『新ルール』と見られていた。IOC(国際オリンピック委員会)によって中核競技から除外されたレスリングは、オリンピック種目として存続するため、「よりわかりやすく、エキサイティングな試合展開」を目指してルールを改正。なかでも重要な点は、試合時間を「2分3ピリオド」から、アテネオリンピックまで採用されていた「3分2ピリオド」のトータルポイント制への変更である。

自身の世界記録を更新する「世界大会14連覇」を成し遂げた吉田沙保里「たかが1分。フルに戦えば同じ6分ですが、ベテラン(現在30歳)の吉田にとってはかなりキツイでしょう。各ピリオドのラスト1分、バテたところで本来のディフェンス力を発揮できるかどうか……。疲れてくると、それまでは守れていた相手の攻撃に堪えきれなくなる。そこがポイント」

 大会前、吉田が所属するALSOKの大橋正教監督は、そう懸念していた。

 事実、初めて新ルールで戦った今年6月の全日本選抜選手権・決勝では、猛烈な勢いで吉田を追い上げる村田夏南子(日大)に、まさにその点を突かれた。村田は吉田の高速タックルを受けながらも、失点を最小限に食い止め、後半勝負。吉田の動きが鈍くなってきたところでグラウンドに持ち込み、ポイントを獲得した。

 結果は、ラスト13秒、吉田がオリンピック3連覇の意地を見せて逆転勝ち。世界選手権代表の座は譲らなかったが、吉田は試合後、次のようにコメントした。

「バックを取られてローリング。アッという間に5点取られてしまいました」

 新ルールでは、技のポイントも改正された。相手をテイクダウンしてバックを取ると、これまで1点だったのが2点となった。場外に出た場合の1点、反則による1点と区別し、攻撃によるポイントを重視するためだ。これにより、前半タックルを受けて失点しても、後半グラウンド勝負に持ち込めば、逆転は可能となった。