【月刊・白鵬】優勝「25回」という数字にこだわってきたワケ

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

25度目の優勝を飾り、関係者と喜びを分かち合う白鵬関。25度目の優勝を飾り、関係者と喜びを分かち合う白鵬関。第27回:優勝記録

2場所連続の全勝優勝を果たした横綱。
朝青龍の持つ優勝25回にも並び、
充実した表情で5月場所を振り返る――。

 春場所(3月場所)に続いて、全勝優勝を果たした夏場所(5月場所)。優勝回数は、ついに朝青龍関の25回に並ぶことができました。春場所で北の湖理事長の持つ優勝24回の記録に並んだときから、朝青龍関の記録に追いつくことを目標にしていたので、本当にうれしかったです。

 朝青龍関は、私が相撲界に入門したときから目標にしていた力士です。瞬(またた)く間に横綱に駆け上がり、優勝回数を重ねていく姿を間近で見ていて、「朝青龍関のように強くなりたい」と、いつも思っていました。

 また、土俵を離れても、私や日馬富士といった後輩をよく食事に誘ってくれたりして、何かにつけて面倒を見てくれていました。土俵での強さはもちろんのこと、下の者たちに接する態度なども、大いに勉強になりました。

 時を経て、2007年の名古屋場所(7月場所)、私もついに横綱に昇進。朝青龍関に(番付上で)肩を並べることができたときは、とても感慨深いものがありました。世間では「青白時代」などと称されて、これからは「朝青龍関とふたりで土俵を引っ張っていくんだなぁ」と思っていましたね。

 しかしその後、朝青龍関の不調などもあり、その時期が長く続くことはありませんでした。それは、今でも残念でなりません。

 朝青龍関の現役最後の場所となったのは、2010年の初場所(1月場所)でした。そしてその際に、25回目の優勝を果たしました。当時の私にとっては、とてつもなく遠く感じる、偉大な記録でしたが、目標とする力士の記録だけに「25回」という数字にはずっとこだわっていました。

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