【スキージャンプ】ソチ五輪プレシーズンに臨む高梨沙羅。高1の夏につかんだ確かな収穫

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT

11月1日に行なわれた記者会見で今シーズンの意気込みを語った高梨沙羅11月1日に行なわれた記者会見で今シーズンの意気込みを語った高梨沙羅 初開催だった昨シーズンの女子ジャンプW杯では、全13戦中9試合に出場して総合3位になった高梨沙羅。今年は8月から9月にかけて4戦あったサマーGPで2勝、2位1回で総合優勝を果たし、ソチ五輪プレシーズンに向けて期待を膨らませた。

 だが高梨は冬のシーズンを前に、「夏の結果は冬とは別物。サマーGPは来ていなかった強豪選手もいるから真の結果とはならないと思うし、ちょっと複雑な気持ちです」と冷静だ。そして昨季のW杯9勝と抜群の強さを見せたサラ・ヘンドリクソン(アメリカ)についても、「彼女の精密機械のように完璧なテイクオフの技術は、私より数段上をいっている。彼女を超えたいという気持ちはどこかの片隅にはあるけど、まだまだ私はそんなことを言えるようなジャンプをしていないので......。まずは自分の技術とか精度を上げることを考えています」と、落ち着いた気持ちでシーズンを迎えようとしている。

 そんな高梨は、この夏は確かな手応えを得た。それは新ルールへ十分適応できたことだ。

 ジャンプ用のスーツのサイズは、昨季までの体のサイズより6㎝まで余裕があっていいというルールがあったが、今季から変更された。結局は2㎝までの余裕ということになったが、当初発表されたのはボディサイズにピタリというもので、選手たちはサマーGPまでそのサイズのスーツで飛んでいたのだ。

 ボディサイズにピタリのスーツだと空中で受ける浮力は極めて小さくなり、少しでも無駄な動きをすれば落下して飛距離を伸ばせない。男子選手でも「初心者に戻ったような気がした」と言うほど難しい。

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