【ロンドン便り】五輪公式マスコット、予想に反して人気急上昇中
開幕直前からロンドン市内各地にお目見えした五輪公式マスコットのウェンロック オリンピックの公式マスコットというものは、「期間限定」であるためほとんど記憶に残らないものだが、ロンドン五輪の 「ウェンロック」とパラリンピックの「マンデビル」はなかなか印象深いキャラとなっている。大会前から賛否両論。子ども受けしない強面のマスコットということで、発表直後からかなりの不人気だった。
顔の中央に大きな目がひとつあるだけで口も耳も鼻もなく無表情。この怪物のようなマスコットは「史上最悪」とまで酷評され、グッズが売れないのでは、と心配されていた。だが、開幕10日前からロンドン市内に83体も出現したウェンロックとマンデビルの像が、地元市民や観光客の記念撮影に引っ張りダコとなっているのだ。いまや観光名所のひとつにもなり、人気が急上昇している。
英国旗「ユニオンジャック」をはじめ、国会議事堂の時計塔「ビッグベン」やバッキンガム宮殿の衛兵、赤い電話ボックスなど、ロンドンの観光名所などに模した像の周りでは、抱きついたりキスをする人々の姿が絶えない。日本人観光客の中には、「ゲゲゲの鬼太郎の目玉の親父」、「怖かわいい」などと口を揃える人も。
このふたつのマスコットの名前には、深い意味が込められている。ウェンロックはイングランド西部のウェールズに近いシュロップシャー州にある人口約2600人の「詩歌の町」、マッチ・ウェンロックにちなんで名づけられた。当地では1850年からウェンロック・オリンピアン競技大会が毎年開催されており、近代五輪はここからヒントを得たと伝えられる。一方、マンデビルの由来は、ロンドン北部のバッキンガムシャー州にあるアイルズベリーのストーク・マンデビル病院だ。1948年、当地では負傷した兵士たちによってスポーツ大会が開かれ、後にパラリンピックが発祥したとされる。
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