「誰にも邪魔されずに突き進む」 宇野昌磨を導く2030年オリンピックへの羅針盤 (2ページ目)
「オリンピック出場の目標が変わることはないです。やっていくなかでの取り組み方は変わっても、ゴールは変わらない。これ以上ないと言えるほど練習していますし、これを続けることで、まだまだポテンシャルはあると思うので。試合に出るほど成長するはずだし、時間をかけるほど、レベルとか、明日以降でもすぐ改善できると思うので。誰にも邪魔されずに突き進んでいきたいですね」
そう語った宇野は、誰よりもプロセスを重視する。そこを裏切ることは決してない。それは彼の流儀だ。
今年4月、インタビューでひとつの質問を投げたことがあった。
――1年前、プロデュースを発表した自分にタイムマシンで会うことができたら、なんと伝えますか? (アイスショーでの)新たな試みが、これだけ成功を収めたわけですが......。
「えー、なんて伝えますかね......でも、仮に伝えに行ったとして、何かを伝えられても、1年前の僕はイラっとするだけだと思います(笑)。だって、当時の自分はまだ成功体験を得ていないわけですから。もし、自分が後悔する選択をしていたら、過去に戻って何かしたい、とかあると思うんですけどね。失敗はありましたけど、後悔する選択はほとんどないので」
宇野は、今も後悔しない日々を生きる。それだけが成功につながることを、フィギュア人生で体験してきた。進むべき道は明瞭だ。
「(デビュー戦を終えて)これからは"男性の役割"に徹したい、と思いました。僕はシングル時代の経験はあるけど、アイスダンスの手札がないなか、"よく見せよう、いい表現をしよう"となると、自分の力が強くなって、前に出すぎてしまうところがある。でも、アイスダンサーは男性が女性をリードするもの。(本田)真凜が存分に華やかに表現できるようにすべきで、それが自分のやるべきポイントだと今回の大会で実感しました」
予選会後、しょまりんはイタリアで再びアイスダンス修行に入るという。物語は始まったばかり。今年12月の全日本選手権に向け、研鑽を積むが、その日々こそ、彼らの真実だ。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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