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高橋大輔の『オペラ座の怪人』は「まさにラスボス」 かなだいは新カップルへエール (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【芸術的な影響を受け合う関係性】

 かなだいの存在が、櫛田&島田のふたりにどれだけあと押しになっているか。

「本当に光栄な言葉をいただきまして......自分たちは(アイスダンスを)はじめたてで、できないことも多いですが、できるようになりたいとは思っているし、かなだいの演技を見ると、これをやりたい、とどんどん増えて。いろんなことができるアイスダンサーになりたいと思います」

 島田はそう言って、かなだいに感謝しながら櫛田に視線を送り、小さく笑みを洩らした。

 翻って、高橋の表現力の影響を一番受けているのが、カップルを組んでいた村元かもしれない。ふたりはアイスショーでも共演を重ね、芸術的な影響を受け合っている。今回、高橋のソロの振り付けでも、村元がアドバイスしていたという。

 村元がソロで滑った『Ramalama』は出色だった。氷上で動き出す人形を演じているが、本当に操られているような不思議な体の動きに見えた。音に合わせて踊るうち、狂気の世界に誘い、魔法が切れたように人形に戻る。数分間で、印象的なドラマを演出していた。

「曲はジェレミー(・アボット)に作っていただきました。去年、彼のプログラムを見て、ユニークだなと思ったので、お願いしたらタイミングが合って。テーマは奇妙な人形が踊るんですが、そこがクレイジーで。作っている過程が楽しくて、衣装もすごく凝ったデザインなので注目してほしいですね」

『オペラ座の怪人』の続編を軸に、各スケーターの人生が重なり合う。それは幻想的だが、リアルな世界である。19回目の開催となる『フレンズ・オン・アイス』で浸る恍惚の時間だ。

 公演は8月31日まで行なわれる。

終わり

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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