【フィギュア】鍵山優真が振り返る今シーズン 五輪シーズンへ向け「立て直さなければいけない」 (2ページ目)
【伝えたいものを伝える意識】
翌18日のフリー。来季は、4回転4本の構成に4回転ルッツを加えるために、現時点で構成に入れているフリップまでの高難度のジャンプを、シーズン最後の試合でしっかり挑戦しておきたいという思いで臨んだ。
フリーの4回転フリップは、SPの軸がぶれたジャンプとは違うしっかり体を締めた鋭い回転のジャンプで気持ちが感じられたが、転倒。苦手意識を払拭仕切れなかった。
「6分間練習の時は気持ちがすごく前に出ていたから、『もうちょっと落ち着いて』と父(正和コーチ)にも言われた。そのあとはしっかり心を落ち着かせたけれど、今までの経験では6分間で成功したものは本番でも成功するし、失敗したものは失敗するという感覚だった。昼の公式練習や6分間での調子がそのまま出た内容だったとすごく感じました」
回転不足で転倒した冒頭の4回転フリップに続き、次の4回転サルコウも転倒。そして、SPで完璧に決めていた4回転トーループ+3回転トーループは、4回転がオーバーターンになってしまう単発に。トリプルアクセルからの3連続ジャンプでは最後の3回転サルコウで軸が傾き、成功したがGOE加点を稼げなかった。
それでも、そのあとのフライングシットスピンで気持ちを落ち着かせると、丁寧な滑りに徹して4回転トーループ+2回転トーループとトリプルアクセル、3回転フリップ+ダブルアクセルは確実に決めた。
「父には滑る前に『何も考えず、とにかく全力で。全ミスしてもいいから』というふうに言われた。世界選手権の時とは違って前向きに、頑張るぞという気持ちでやったけれど、やっぱり4回転フリップや4回転サルコウという大事なジャンプをミスしてしまって悔しい気持ちがあります。後半は、しっかりと立て直すことができ、最後のステップやコレオ、スピンもお客さんの顔をしっかりと見ながら。このプログラムは(今大会で)最後になるので、自分が伝えたいものをしっかり全力で伝えるというふうに意識しながら頑張りました」
終盤の滑りは、鍵山らしさを存分に見せるものだった。とくにステップシークエンスは、丁寧に滑る前半から、テンポが変わって激しさを増す後半へのつなぎもメリハリがあり観客を沸かせた。ジャッジ全員が、GOE加点で4〜5点を並べる出来にして、フリーの得点は168.93で5位だった。
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