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鍵山優真、圧巻の演技で全日本初V 次は世界の頂点へ「理想の最終的な構成はルッツも含めた4回転5本構成」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【まさかのミスからのスタート】

 フィギュアスケートの全日本選手権男子シングルは、有力選手の全員が初優勝を意識して臨んだ。そのなかでも、一歩抜け出していたのがやはり鍵山優真(オリエンタルバイオ/中京大学)だった。

全日本選手権で初優勝を果たした鍵山優真全日本選手権で初優勝を果たした鍵山優真この記事に関連する写真を見る

 12月20日のショートプログラム(SP)では、ライバルの三浦佳生(オリエンタルバイオ/明治大学)と佐藤駿(エームサービス/明治大学)にともに転倒があり80点台と出遅れたなか、鍵山は92.05点で1位発進となった。だが、悔しさも残った。

 慎重さが伺える滑り出しだった。最初の4回転サルコウは、軸が動くジャンプながら耐えると、次の4回転トーループ+3回転トーループは確実に決めた。だが、シットスピンの後のトリプルアクセルは、前向きに着氷し転倒。鍵山にとって珍しい、大きなミスとなった。

「カロリーナ・コストナー先生からは『一つひとつのエレメンツを考えて』と言われていたので、4回転を2本降りた後もいけるとは考えず、冷静にやろうとだけ思っていました。でも、ふとノーミスがよぎって力が入ってしまったのか、アクセルがちょっと変な感じになってしまった。ただ全体的には変な緊張もせず、最初から最後まで冷静にできたと思います。アクセルのミスはあったけどその後のステップもしっかりと感情を出せたと思うので、そのあたりは今シーズンのなかでも良かったのではないか」

 鍵山がこう話すように、他の要素はGOE(出来ばえ点)加点もしっかり稼いで、傷口を大きく広げることはなかった。

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著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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