三原舞依にとってスケートリンクは「笑顔を生んでくれる場所」。五輪代表逃すも拍手が鳴り止まなかった (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「(三原)舞依が普段やったことのない失敗で。今は何を言われても悔しいと思うので、そっとしておきたい」

 中野園子コーチがそう振り返ったように、悔しさに身がよじれる思いだったはずだ。

「全体的に足が震えていて、ノーミスができなかった悔しさはあります。でも、そのなかであきらめずに滑りきれたのはよかったかなと思います」

 三原は努めて前向きに言った。

「日頃の練習から集中してやっているので、切り替えはうまくなったと思います。今日もミスのあとは切り替えができて、そこは強くなれたところで。客観視した時、自分のここがダメというのは頭に浮かんでいるので、そこをしっかりやっていきたいです。(病気や復帰など)いろいろあっても少しは前に進めたので、プラス思考に捉えようかなって」

 結局、三原は北京五輪代表には選ばれなかった。しかし、その演技は会場をわかせた。フリー後も、拍手はなかなか鳴りやまなかった。

 リンクという彼女がいるべき場所で、やるべきことをやったのだ。

「スケートを滑るのは楽しくて、自然と笑顔になれます! 私が目指すスケーターも、見て感動して元気になってもらえる、笑顔になってもらえる、と思っているので。リンクは笑顔を生んでくれる場所だと思います」

 そう語る三原は、氷の世界で優しい物語をつくる。1月18日にエストニアで開幕する四大陸選手権、彼女は日本代表選手としてリンクに立つ予定だ。

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