松生理乃は持ち味のジャンプで羽ばたく。全日本での悔しいミスも「収穫あった」と前を向き、四大陸選手権にのぞむ (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「ふだんはしない1本目のジャンプでミスをしたので、すごく焦って、どうしてだろうと思って。気持ちを切り替えられないまま2本目にいってしまい、立て直せず失敗が続いてしまった。後半にコンビネーションジャンプを持ってきてやりきろうという強い気持ちがあったので、最初にミスが出てしまってすごく悔しかったです」

 それでも2本続けたダブルアクセルをしっかり跳んで気持ちを立て直すと、後半は3回転ルッツ+3回転トーループ+2回転トーループと、3回転サルコウ+3回転トーループ、3回転ループ+2回転トーループをすべてきれいに決めた。レベル4にした3種類のスピンでもしっかり加点をもらって滑りきった。

 フリーの得点は126.46点で合計198.77点。総合順位は7位だったが、最初の2本のジャンプを跳べていれば技術点だけで10点強はプラスに、転倒減点2点もなくなり210点台に乗せられた計算。そうなれば3位で北京五輪代表になった河辺愛菜の209.65点を上回っていただけに、悔しいジャンプのミスだった。

【高難度に果敢に挑む】

 そんな松生が注目され始めたのは、2020年の全日本選手権だった。ジュニアからの挑戦だったが、SPとフリーともに連続ジャンプを後半にそろえる難しい構成に挑戦。SPはジャンプを跳ぶ前の滑りで転倒する珍しいミスをし、後半の連続ジャンプも4分の1回転不足で減点され、65.57点の7位発進だった。

 フリーでは139.17点を獲得して合計207.74点で4位に。ジャンプは演技後半の連続ジャンプの3回転フリップがエッジ不明瞭との判定で加点を伸ばせず、最後の3連続ジャンプの3回転サルコウが4分の1回転不足で0.25点減点されたなかでの結果だった。演技構成点は全項目を8点台に乗せ、優勝した紀平梨花と2位の坂本花織、3位の宮原知子以外の選手はすべて上回る65.71点を獲得していた。

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