髙橋大輔&村元哉中の覚悟。逆境を跳ね返したアグレッシブな攻めの姿勢

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

12月26日、全日本フィギュア・リズムダンスを演じる髙橋大輔と村元哉中12月26日、全日本フィギュア・リズムダンスを演じる髙橋大輔と村元哉中 12月26日、長野。全日本選手権アイスダンス、リモート会見に出てきた髙橋大輔と村元哉中(かな)のカップルは、座った椅子から落ちそうなほど笑い転げていた。ウェブ会議サービスで質問する記者の通信状況が悪く、ヘリウムガスでも吸ったようになり、取材中に不似合いなコミカルな空気を醸し出すことになったからだ。

 その明るさはふたりの人柄とも言えるが、その先に生まれつつあるものが映っていた。

「本番は、(髙橋)大ちゃんが先に『頑張ろう!』って声をかけてくれて。今日は、全力で大ちゃんに頼ろう、フルでサポートしてもらおうって思いました。演技が終わって、パートナーがいるって心強いなって思いました」

 村元は目を輝かせて言った。隣の髙橋は照れくさそうに長い髪をなでながら、その思いに応えるように見つめ返した。

「(村元)哉中ちゃんのほうが男前で。めちゃくちゃ痛いはずなのに、何もなかったようにいつもどおり振る舞って。『カッケーな』って思いましたね」

 ありふれた言い回しをするなら、絆だろうか。ふたりでいる安心感が濃厚に伝わった。その瞬間、ふたりはアイスダンサーになっていたーー。

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