坂本花織、「4回転への挑戦」が強さを取り戻すきっかけになる (2ページ目)

  • 辛 仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 今季のグランプリ(GP)シリーズは第1戦のスケートアメリカ、2戦目のフランス杯でいずれも総合4位。GPシリーズ上位6人が進出するGPファイナルへの出場を逃した。得意のジャンプが不調で不甲斐ない演技が続き、気持ちが乗らない苦しさを吐露した坂本は、どん底に突き落とされた。フランス杯後には、今季を象徴するようなコメントを残している。

「昨年はグランプリ2大会で絶対表彰台に乗って、ファイナルに行って、全日本でも表彰台(初優勝)に乗って、とモチベーションがすごく上がっていたし、自分の中でも勢いがあったんです。だけど、今年は昨年の勢いがなくて、まず4回転の子(シニアデビューしたロシア勢)に勝てる気がしないという気持ちがあって、それに勝っていくにはどうしたらいいんだろうなと思いながら練習して、試合が来て、(結果が)悪くて、やっぱり練習しないといけないなと思って、という繰り返しが続いています」

 2連覇を狙った全日本では、ショートプログラム(SP)3位からフリーでジャンプの失敗を連発して崩れ、総合6位に沈んだ。平昌五輪代表になったシニアデビューシーズンから昨季まで、坂本の強さが際立ったのは、SPとフリーでノーミス演技を揃えられたからだ。

 しかし、今季はそれがなかなかできなかった。原因は気持ちがスケートに向かわず、練習不足に陥ったからのようだ。中野園子コーチから「今季は追い込まなかった成果が出たね」と言われ、「納得するしかなかった」と明かす一方で、こんなことも口にしていた。

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