2019.12.23

新女王・紀平梨花が世界を狙うために次に考えていることは何か

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

全日本選手権で初優勝した紀平梨花 紀平梨花(17歳)は大忙しだった。会場をどよめかせる高得点を叩き出し、全日本女王になった後、西へ東へ走り回っている。フラッシュインタビューを受け、表彰台に立って授賞式、再びテレビのインタビュー、さらに記者たちの囲み取材、そして公式記者会見に出席し、フォトセッションをこなし、記者からの質問を再び受けた。

 しかし新女王は澄ました表情で、少しも苦にならないようだった。

「あ、でも、爪が……」

 取材エリアで、首に下げた金メダルを手に持ってかざし、カメラに向かってポーズをとる時だった。そう呟いたと同時に、一度控え室に戻り、肌色の手袋をつけてきた。大胆だが、細心なのだろう。金メダルを顔の横にして、口の端を上げた。

「すごく調子は悪かったんですが、これはもう”爆笑しておこう”って思って。最後はポジティブに気持ちを持っていけたと思います。すごい不安で、ずっとビクビクして過ごしてたので、全日本優勝はすっごくうれしいです!」

 紀平は、素直に喜びを表現した。

 12月21日、代々木第一体育館。全日本選手権、女子フリースケーティングでショートプログラム首位の紀平は最終グループ、最後滑走だった。

 最終グループは6分間練習から、どこか不穏さを漂わせていた。宮原知子、坂本花織のジャンプがいまひとつ決まらない。全日本特有の緊張感なのか。紀平も、決して万全ではなかった。