五輪女王・ザギトワも必死。吹き荒れるロシア3人娘の新風 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 さらに個々のジャンプの練習でも、必ずその前のつなぎから入って跳んでいた。滑るコースにほかの選手が入ってしまって中断しても、すぐに最初のスタート地点に戻ってから再スタートする。単に跳ぶだけの練習ではなく、常にプログラムの中でのジャンプを意識する姿勢で取り組んでいた。

 本人が「練習はしているが、4回転より難しい」と話していたトリプルアクセルについては、フリーで4回転トーループ+3回転トーループを跳んだあと、カウンターから軽々跳んだダブルアクセルを見ると近い将来に跳んでくると思われ、すごみを感じるほど。

 そのトゥルソワと同じロシア新世代のひとりであるアンナ・シェルバコワは、4回転を武器にしてスケートアメリカと中国杯で連勝した。彼女は4回転トーループを跳ばず、4回転ルッツで勝負する選手だ。

 スケートアメリカでは、SPは後半の連続ジャンプのセカンドが回転不足と判定され、67.60点。フリーで160.16点を出して合計227.76点で逆転優勝を果たしたが、フリーでは後半の連続ジャンプ2本で回転不足をとられるなど、不安定な部分もある。

 中国杯のSPはほぼノーミスの滑りで73.51点まで得点を伸ばしていたが、フリーでは最初の連続ジャンプの4回転ルッツが回転不足と判定された。そのうえ、4回転ルッツ2本と3回転ルッツの2本とも"ノット・クリア・エッジ"と評価されて152.53点。合計226.04点にとどまった。武器としているルッツの評価が悪かっただけに、ファイナルでどう立て直してくるか注目だ。

 さらに、4回転は跳ばないが、トリプルアクセルを武器にして得点を伸ばしてきているアリョーナ・コストルナヤも驚異的な成長を見せている。10月のフィンランディア杯でSPには入れていなかったトリプルアクセルを、GPシリーズフランス杯では回転不足を取られたものの、SPで入れてきた。

 次の3回転ルッツは"ノット・クリア・エッジ"と判定されてSPの得点は76.55点だったが、フィンランディア杯ではトリプルアクセルを跳ばないで77.25点を出していたことを考えれば、すぐにでも80点台に乗せてきそうな状況だ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る