羽生結弦の今季、五輪後はフワフワ。チェンに敗れて再び火が灯った (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そんな、勝たなければいけないという気持ちがSPの滑りに表れていた。着氷が詰まりかけながらもうまく抜けた4回転トーループ+3回転トーループや、ステップは若干得点を伸ばせない部分はあったものの、オータムクラシックのミスはしっかり修正し、今季世界最高の106.69点を獲得してトップに立った。

「100点を超えたのが大きいかなと思います。トランジションに関してもジャンプに関しても、まだできるところがたくさんあると思うし、まだベストの点数ではないかもしれないですけど、後半のスピンではとくに自分の気持ちを込められたと思う」

 だが、翌日のフリーでは氷のコンディションに苦しんだ。羽生はエッジ系のジャンプに苦しんでいたと明かした。朝の練習で「スピードを出さなければ跳べる」と思ってしまい、本番でループはとくにスピードを落として慎重に跳んだ。その結果、回転不足になって流れに乗れなかった。

 結局、後半の4回転トーループも回転不足となり、次の4回転トーループ+トリプルアクセルも最後の着氷が若干スリップするなどミスも出て、目標にしていた200点には届かず、合計は297.12点となった。

 今シーズンからフリーの演技時間が30秒短くなった影響で、なかなかノーミスの演技が出ないなか、フリー、合計ともに、その時点での今季の世界最高得点だった。それでも羽生は次のように反省を口にした。

「4回転トーループ+トリプルアクセルも回転不足はついていないので一応成功という形にはなりましたが、GOE(出来ばえ点)がつかなかったのは残念です。

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