心境に変化。宇野昌磨は全日本でモヤモヤを晴らしたい (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そんなモヤモヤした気持ちを、納得できる演技で晴らしたいという思いが、心の中に大きく渦巻いているのだろう。3連覇を狙う今回の全日本へ向けて、宇野自身の気持ちが少し変わってきている。

 昨季まで口にしていた最大の目標は、「しっかり練習して準備してきたことを、結果として表す」こと。だから十分な練習ができていなかったときは、結果が良くても納得せず、しっかり練習ができていたのに結果が悪いと「自分の努力を無駄にしてしまった」と悔しがる姿を見せていた。だが、グランプリ(GP)ファイナルから全日本へ向けた練習の手応えを聞かれ、宇野はこう口にした。

 「練習でできていても本番ではできなかったり、練習ではできていなくても本番でできることがある。それが試合だと思っています。だから、練習での調子というのはあまり関係なく、気持ちをうまく持っていって成功につなげたらいいのかなと思っています」

 宇野は、この試合でもっとも成し遂げたいことは、「自分を信じること」と言う。それは、練習の出来不出来を気にすることなく、自分を信じてフラットな気持ちで試合に臨むということだ。これまで練習で積み上げてきたものがある。細かな調子の良し悪しを気にするのではなく、その積み上げてきたものを信じればいい。今年の全日本での宇野は、なにか吹っ切れたようなキレのある演技を見せてくれそうだ。

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