本番まで残り約1カ月...羽生結弦は平昌五輪で4回転を跳ぶのか? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 では、その羽生を平昌で脅(おびや)かすのは誰になるのか。

 羽生が15年に出した合計330.43点の世界最高得点に次ぐ実績を持っているのが宇野昌磨で、今季初戦のロンバルディアトロフィーで319.84点を記録した。さらに、16年世界選手権で314.93点を出したハビエル・フェルナンデス(スペイン)と、17年の四大陸選手権で307.46点を出したネイサン・チェン(アメリカ)が続く。17年世界選手権で303.58点を出しているボーヤン・ジン(中国)は今季のGPファイナルを捻挫で欠場しているが、得点能力から見れば、これら4人の選手が羽生のライバルになってくるだろう。

 宇野は昨季の世界選手権ではSP2位で発進し、フリーでもSP5位から逆転優勝した羽生に2.28点差の2位になるなど、シニア移行後は確実に表彰台に上っている安定感が強みだ。フリーに4回転サルコウを入れて4種類5本の4回転という構成に挑戦している今季は、初戦で自己最高得点を出しながらも、その後は試合へのピーキングでやや苦しんでいる。

 だがそれは、新たな4回転を増やしたり、後半を難度の高い構成にしているからともいえる。GPファイナルのフリーの後には「失敗してもいいから4回転トーループを跳んでおくべきだったと少し後悔している」と話していたように、克服すべきところは些細な調整のみ。それがしっかりできれば、羽生に迫る可能性もある。

 そんな日本人男子のダブル表彰台に割って入ってきそうなのが、今季のGPファイナルを制したチェンだ。4回転ジャンプの申し子ともいえる彼は、昨季の世界選手権のフリーで6本の4回転を入れてきたように爆発力を持っている。そのうえ、今季は演技構成点も上積みしてきている。1月の全米選手権では、SPではステップアウト、フリーではパンクして1回転半とトリプルアクセルのミスが続いたが、それでも合計で315.23点を獲得して圧勝した。

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