中国杯SP首位発進! 浅田真央「世界でただ1人」の挑戦 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha   能登直●撮影 photo by Noto Sunao

「課題は多いと思いますけど、GP初戦でまずまずまとめられ、今日の時点では満足しています。試合に出たくて戻ってきた気持ちを忘れないでやろうと思って。スピンも女性らしく、男性を誘うような感じで滑りなさいと言われていました。たくさんのファンの声援が聞こえ、すごく助けになりました」

 今回、浅田が滑ったSPは、女子としては最高難度のジャンプ構成だった。いまの現役選手でこのプログラムを組める可能性があるのは、昨季トリプルアクセルを習得した世界女王のトゥクタミシェワ(ロシア)だけだが、いまのところ浅田ただ1人しかいない。それほど難しい内容のプログラムをあえて、GP復帰初戦でやってのけてしまう彼女のチャレンジ精神には感服するしかなく、その意地とプライドはいまだ衰えていないことが分かった。

 この日は、プログラム冒頭のトリプルアクセルはしっかりと認定され、8.5点を獲得した。現地での3回に及んだ公式練習では、それほど安定していなかった大技だったが、ここ一番の集中力を発揮して本番で見事に成功させたあたりは、さすがのひと言に尽きる。

 ただ、最高難度のジャンプ構成の中で、成功と認定されたのはそのトリプルアクセルだけだった。連続3回転ジャンプでは、2つ目の3ループでアンダーローテーションの回転不足を取られ、3ルッツでは「e」がついて不正エッジと認定されてしまった。これまで、新採点方法の下で戦ってきた浅田にとって、苦手な3ルッツは、特にSPでは外していた。それを復帰シーズンのGP初戦で、それもSPから組み込んできたことは計り知れない意味があり、最大のチャレンジだったと言えるだろう。

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