ソチ五輪直前。浅田真央のライバル3人の状態は? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 キムが本来の調子を取り戻してくれば、余裕を持ったジャンプなどでGOE(技の出来ばえ)点を稼ぎ、演技構成点でも高得点を獲得する可能性がある。浅田も演技構成点は昨季より高得点を獲得できるようになっているが、キムの完成度に対抗するためには、最大の武器と自認する3Aをより完璧にこなして、加点をもらえるジャンプを決めることが必要になるだろう。どちらが勝つにしても、これまで以上の熾烈な金メダル争いになるはずだ。

 浅田とキムのふたりを追う第2グループの先頭に立つのは、順当にいけば昨年の世界選手権2位のカロリーナ・コストナー(イタリア)となるだろう。今季はまだ調子を上げきっていないが、昨年の世界選手権のフリーの『ボレロ』は、迫力十分の完成度の高いプログラムだった。

 コストナーは、最後のトリプルサルコウで転倒しても、演技構成点は優勝したキムに3点弱劣るだけだった。技術基礎点こそ浅田とキムに劣るものの、スケーティング技術の高さと、好調時のスピード感、表現力ある演技は以前から高く評価されている。演技構成点も確実に獲得できている選手であり、ソチを最後の五輪として臨むだけに、勢いに乗れば怖い存在になる。

 コストナーに加え、年が明けてから一気に金メダル候補に名乗りを上げたのがロシアの新鋭・15歳のユリア・リプニツカヤだ。12年世界ジュニア女王で、シニア初参戦の昨季はGPファイナルに進出しながらもケガで欠場していた。今季は、スケートカナダ優勝とロシア杯優勝、ファイナルでは浅田に次ぐ2位と着実に成長しているところを見せている。

 SP4位から追い上げたファイナルのフリーでは、ルッツのロングエッジや3回転サルコウの回転不足がありながら、技術点では浅田を1・06点上回っていた。だが演技構成点はすべてが7点台。表現力はあるものの、まだ拙さもあるというのが審判たちの評価だった。

 それが、1月のヨーロッパ選手権ではSPでロシア選手権優勝のアデリナ・ソトニコワに次ぐ2位で発進すると、フリーでは相変わらずルッツのロングエッジはあったものの、演技構成点でトランディション(技と技のつなぎ)以外は8点台後半を獲得し、合計209・72点で優勝。

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