2012.04.02

苦境から復調。村上佳菜子、「強いスケーター」への着実な一歩

  • 青嶋ひろの●取材・文 text by Aoshima Hirono
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

2回目の世界選手権で5位。今季は体調不良など苦しいシーズンだった村上佳菜子 今季、絶不調だったグランプリシリーズのころ、村上佳菜子は世界選手権出場をほとんどあきらめていたという。

「それは満知子先生(山田満知子コーチ)も同じでした。たとえば先生と、コスチュームを替えようかどうしようか、って話をすると、『世界選手権に出られたらね』って言われていたんです。去年はグランプリシリーズで結果をちゃんと出していたから、出られる可能性の方が高いだろうって話していました。でも、今年はこのままだとダメかもしれない、世界選手権には出られないかもしれない、って雰囲気で話が進んでいく。そういうことがもう、辛くって......。『ああ、今年はもうダメなんだ』と思っていました」

 春の疲労骨折、なかなか解決しなかったスケート靴の不具合、それに伴う足の痛みとジャンプの不調は、「自分の人生で一番つらい出来事だった」という村上。だが、それを乗り越えての世界選手権出場と、ショートプログラム2位という好結果。この世代の場合、ケガやジャンプの不調からの復活に、数年かかってしまうケースも多いが、村上はたった半年ほどで本来の調子を取り戻し、彼女自身難しいと思っていた世界選手権代表入りを決めた。村上佳菜子が肉体的にも精神的にも強いスケーターだということを示したシーズンだった。

「でも世界選手権、最後のフリー......。もうちょっとできたのになって、心残りがあります」

 シーズン前半に比べればかなりいい状態まで戻してきたとはいえ、やはりフリーは難関だった。今回、完璧だったショートプログラムでは2位だったものの、小さなミスが続いたフリーは5位で、総合も5位。全日本選手権、四大陸選手権、そして今大会と、いずれもショートプログラムで好位置につけながら、常にフリーで順位を落とし、昨シーズンほどの力を見せることができなかった。

 そして、年末の全日本の前から必死に遅れを取り戻そうとしてきた結果、コンパクトなショートプログラムはなんとかなったものの、競技時間が長いフリーの仕上げは間に合わなかった。加えて、四大陸では腹痛、世界選手権では激しい嘔吐と、体調不良に悩まされた。

「何も食べられない日もあって、体力がちょっと......。でもそれは言い訳です。自己管理ができなかったのは自分だし、何があっても試合ではやるべきことをやらなくちゃいけないんだから」