アジャコングは全女に合格した理由を知ってショック 「父がアメリカ人」で受けた差別と、母からの無償の愛 (2ページ目)
――学校では、いじめに遭っていたそうですね。
アジャ:いじめと言えばいじめ、という感じなんですよね。「肌の色が違う」といったことでクラス中から攻撃されました。でも、攻撃されたからといって、私は黙っているほうではなかったんですよ。ほかの子たちより体もデカいので、力でいけば絶対に負けない。ただ、その力を使ってしまうとケガをさせてしまうし、相手の子の親御さんたちから怒られる。
でもそういう時、母は必ず「殴ってケガをさせたのは申し訳ない。ただ、殴る原因を作ったのはお宅のお子さんです。あと、この子が生まれたのは、この子の責任じゃなくて私の責任です。文句があるなら私に言ってきてください」と、相手の親御さんたちにちゃんと言ってくれたんですよね。
――アジャ選手を守ってくれたんですね。
アジャ:本当に守られている、愛されていると感じていました。母ひとり子ひとりですけど、不自由なく育ちました。ランドセルとか勉強机とかおもちゃとか、ほかの子が持っているものはだいたい持ってましたし、お金で苦労した記憶はないです。
【全女のテストに合格した理由を知り「さすがにショックでした」】
――お母様のお仕事は?
アジャ:もともとは自分で小料理屋をやってたんですけど、夜に私をひとりにさせないために、途中から昼間の清掃の仕事を始めました。ビル清掃とかですね。
――中学卒業後、全日本女子プロレスの入門テストに合格した時、お母様の反応はいかがでしたか?
アジャ:一回だけという約束でテストを受けて、「受かったよ」と言ったら、「ああ、そう」ってすごいあっさり言われました。「なんで『おめでとう』って言ってくれないの?」って言ったら、「受かると思ったから」と言われて、すごいこと言うなと思っていたら、「だってお前は父親がアメリカ人だからね」って。プロレスなんかの世界では、他人と違った何かがあるほうがいいんだと。自分では体力増強の練習をしたから受かったと思っていたので、イラッとしましたね。
ただ、親ってすごいですよ。全女に入ってしばらくして、(全女の創設者の)松永兄弟に「お前、今日から極悪な」って言われたんです。「クラッシュ・ギャルズになりたかったのに......」と思っていたら、「だってお前、父親がアメリカ人なんだから日本人が憎いだろ。憎めよ」って言われて。日本で生まれ育っているので、日本人を憎むなんてことはありもしないのに、でも「だからお前を取ってんだからさ」って言われた時に、ああ、母が言ってたのはこれだったんだと思って。
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